Dr. Erich Blechschmidt の「胎生学」講義に参加しました。
わたしたちはどこから来て、どのようにして、この世界で展開していくのか?
個体発生の発達プロセスについて、考えていく時間でした。専門的な内容でしたので、印象的だったことを少しまとめてみたいと思います。
私たちの体内では1秒間に10万もの生化学反応が起きています。現在進行形でフル稼働しているようなイメージですね。
そもそもの始まりは、体内最大の細胞である卵子と最小の細胞である精子が出会うところから。受精した瞬間から、急激な勢いで細胞の分化が起きます。
細胞は核(DNA)と細胞質(液)と細胞膜からできています。細胞は栄養分からの位置によって、成長速度の違いが生まれます。
例えば、受精卵が着床し、子宮壁に近い側の細胞は母体と融合し、栄養に近い位置にあるので成長が早く、胎盤を形成していきます。反対側にある細胞は栄養から遠く、同じスペースにあっても、成長速度は遅くなります。成長速度の違いは、成長の方向の違いとなり、細胞の形を変化させていきます。
さらに、細胞は代謝と分化を続け、圧力と張力が生じます。すなわち、液状の細胞質では浸透圧が、細胞膜では外からの刺激に対する張力が生じ、その反応として細胞に変化が起きます。この代謝と分化の連続が、発達のプロセスです。
受精から10日目には身体の中心線 midline のようなものができ始め、その後、中枢神経系、動脈、心臓、胃腸、目、鼻、四肢と形成されていきます。
ところで、すべての細胞は同じ遺伝子を持ち、すなわち同じポテンシャルを持っています。
例えば、肘になった細胞は、膝にも心臓にも何にでもなれるポテンシャルを持っています。初めから肘になる遺伝子があるのではなく、細胞が環境に反応し続けた(抵抗の少ない方へ成長した)結果、肘になる遺伝情報が発現したと考えます。
遺伝学や分子生物学、量子物理学など、さまざまな分野でさまざまな考え方があるので、これが正しいということではありませんが、一つの考え方として、とても興味深い視点です。
つまり、細胞を取り囲む環境があり、その環境に対する反応が起き、また新たな環境に反応して…とプロセスが続いていくのです。それが機能や形、構造になるともいえます。
大人になった私たちの体内でも、このプロセスが現在進行形であることを思うと…ようやっとるで~自分 と思いませんか。
結局、小難しくなってしまいました(笑)
花がひらく時、内から外へ向かう動きのように見えますが、花の成長の前提として、水や土の栄養、日光の存在という環境があり、植物が反応したプロセスの一段階とみることもできるのではないでしょうか。